資料調査報告(No.17):2018年9月発行「練習船日本丸・海王丸の初期段階における 承認申請図面および関連資料」

[表2]日本丸図面以外の承認申請資料

No. 題 名 解 説
0001-1/2 朝日新聞記事「ひと」欄「新しい練習帆船:チームリーダー福井氏」 1948年日本丸後継練習船建造が住友重機・浦賀で行われたことを紹介する記事。
0001-2/2 福井氏あての連絡文書
東大・田古里教授作成
上記記事に「一世日本丸図面が残っていない」と書かれているのを見た田古里教授が「承認申請図が東大に残っている」と連絡した文書。下記0005にある承認図書リストはこの時作成されたものと推測する(手書きの状況、2枚貼合せのテープなどから推測)。文中では図面を提供してもよいと書かれているが、結果として図面が東大にあったことは提供されなかったものと思われる。
0002-1/2&2/2 地方商船学校練習船設計要項(第1案) 入札もしくは引合仕様書に相当するものと思われる。第1船起工は昭和4年4月であるから起工前7ヶ月に作成されたことになる。その段階で設計がどの程度進んでいたか不明であるが、応札準備期間はかなり短い。
第1案とあるが、それ以降のものはない。
機関部については推進機関の簡単な要目が示されているのみである。
電気部については全く記述がない。船体部については各室の面積など細かい要求が示されている。ザラ紙タイプ打ち、袋とじホッチキス止め。2部ある。作成者など記入なし。
0003-1/3 600BHP Engine 関係工程表 推進機関製作者池貝鉄工が昭和4年3月に作成した工事予定表。第1台発送8ヶ月前2隻分4台をほぼ10日ピッチで製作納入する予定。備考欄に「この予定は各課責任を持って厳守せよ」と書かれている。注文主は「川崎造船所」と明記されている。架構、クランクなど各部の工程は設計、木型、鋳物、機械、仕上、組立、試験、発送となっている。
0003-2/3 557号工事予定表(乙) 本船の起工は昭和4年4月17日、本図は6月9日改訂となっている。作成は造船設計部。この段階で進水予定は12月中旬と書かれているが、川重社史による実績は昭和5年1月27日となっている、船台工事が遅れたのであろうか、完成は同年3月末で予定表も同じ、艤装段階で挽回したと思われる。本図は船殻工事の工程表である。乙の意味は不明。各部の区分は現図、キール及びセンターガーダー、底部外板、二重底内フロアー及びサイドガーダーなど船台上の組立て順に24項目。工事の項目は、出図、展開、材料、罫書、型取、機械仕上、取付、水試などとなっている。
0003-3/3 558号工事予定表(乙) 第2船558号は起工が8日、進水が18日、完成が50日遅れで第1船と雁行して建造された。現在の一般的な計画なら第1船と2船はやや間を開けて同型船効果を期待するところであるが、雁行建造となったのは注文主である文部省の要求であったのであろうか?
0004-1/16 Schedule for issue of the Working Drawings 557および558号船の船体部Working Drawingの出図予定表で、計算書なども含む。全46項目。Department of Educationの判が押されているが製作者は不明。手書き書き込みあり、「山本私用」のメモと「山本武蔵」の判あり。教授の作業チェック用か?
0004-2/16 承認願図面提出予定表 川崎造船所造機部門作成の予定表。「文部省行」の押印、この段階では宛先は発注者・文部省となっている(引合段階では逓信省管船局宛となっている)。
0004-3/16 List of Drwaing
(Equipment & Fitting Arrnt)
川崎造船所造船設計部作成の船体艤装関係図面の承認願い提出予定表。
0004-4/16 主機・補助機械工場試験要領 池貝鉄工所の所掌する主機・補機類の工場試験要領書。
0004-5/16 六百馬力機械運転予定表 600BHPの主推進機関の工場運転の予定表、1号機は昭和5/1/5~1/11公試、2号機はその3日遅れで雁行して試験を行った。
裏面に「昭4/12/25受取」と明記されている。
0004-6/16 工事進捗歩合及び材料到着状況調査票 第1船の船台期間のほぼ中央時点で調査したものを設計部がとりまとめ提出したもの。目的は不明であるが、設計部が提出したことから建造費の分割支払いなどのためではなく、山本教授への進捗状況報告ではないか?内容は図面完成度、材料入手度を%で表したもの。帆装関係は輸送状況をレポートしている。
0004-7/16 Ship No.558工事予定表(乙)艤装の部 第2船558号の船体艤装工事予定表。装置区分は操舵装置、揚錨及び繋船装置など15区分。工事の段階は図面、材料、工場製作、本船取付、取付後試験の5段階。
0004-8/16 第557&558号機関艤装工事予定表(乙) 作成は川崎造船所造機企画部、出図は造機設計部、宛名書きは墨の達筆。タイトルは2船分になっている。内容は第1、2船併行加工、進水・主機積込、試運転などの節目だけ1、2船別に記入されている。装置区分は主機械及び付属ポンプなど、軸系・軸受・推進器、補助機械、汽缶その他、タンク類、通風装置、主機械吊揚装置、床板・梯子類、電灯装置、弁・管・ピース類など。工事区分は製図、模型、鋳造、注文品、錬鉄、旋盤、組立、銅工、製缶、電気など。当時は床板、梯子まで造機部所掌であった。
0004-9/16 Ship No.557工事予定表(乙)艤装の部 第1船557号の船体艤装工事予定表。体裁、内容は上記558号船と同じ。
0004-10/16 五五七工事予定表(乙) 第1船の工事予定表、昭和4年4月1日作成となっているので、0003のものより早い段階で作られたもの。本図に依れば完成は昭和5年3月31日で下記2番船と同時引渡となっている。
実績は第2船は50日遅れ。この辺の事情は不詳。
0004-11/16 五五八工事予定表(乙) 第2船の工事予定表。上記第1船と同じ時期に作成されたもの。1、2雁行して建造となっている。
0004-12/16 工事予定表 和紙にタイプ打ちの主要予定表、作成日付・作成者名ともないが、比較的早い段階で営業から提出したものと思われる。イベントはキール据え付け、肋骨組み立て、外板取り付け、進水、主機械積込、試運転、引渡。
進水は第1船昭和4年12月中旬、第2船昭和5年1月中旬。引渡は1、2番船とも昭和5年3月31日となっている。2枚目に2隻の製造費内訳書あり、船体部1,274,900円、機関部508,600円、総計1,783,500円。
0004-13/16 工事予定表(改正) 進水が第1船昭和5年1月15日、第2船昭和5年1月30日に変更、主機積込も同様に遅れるが引渡は変わらず。欄外に積込後1ヶ月半がレコードと手書き記入あり。変更理由は不詳。
0004-14/16 工事予定表(乙)船殻の部 昭和4年10月30日改正のもの
0004-15/16 工事予定表(乙)船殻の部 昭和4年11月29日改正のもの
0004-16/16 工事予定表(乙)艤装の部 昭和4年11月30日改正のもの
0005 承認図書リスト 後年、東大田古里教授によって作成されたものと推定される所蔵図書のリスト。
0006-1/5他 仕様書の変更などに関するコメント 山本教授からの自筆と思われる手書きコメントレター3種、教授が細かいところまで見ておられたことが判る。
0006-4/5 池貝鉄工所からの承認願書 川崎造船所経由池貝鉄工所から提出された書信、内容不鮮明で判読困難。
0006-5/5 600馬力公試運転時間割表 第4機の公試運転時間割を通知する書信、池貝鉄工所発動機部発信。

 

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